薬剤師の在宅医療の業務内容
薬剤師が在宅医療を行うことが決定した後に、どのような業務を行うのか、その内容をご紹介いたします。どのように薬剤師の在宅医療を開始するのか、そしてその流れ、在宅医療で薬剤師のできることについてはページ下部の【関連ページ】をご覧下さい。
医師の指示
薬剤師が在宅医療を行うためには、医師の指示が必要です。処方箋に「訪問指示の旨」が書かれる場合や、口頭での指示の場合があります。処方箋と一緒に、患者さんの状態(今までかかった病気の履歴、現在の病状、身体状況、介護状況など)が書かれた「患者情報提供書」を提供される場合も多くあります。この患者情報提供書があることで、質の高い「より良い医療」を提供することができます。
薬学的管理指導計画書
在宅医療を行うために、患者宅(施設を含む)を訪問しますが、その前に訪問計画をたてます。その計画を「薬学的管理指導計画書」といいます。その様式に規定はありません。作成にあたり、主治医やケアマネ、訪問看護師、介護職員等と話し、患者さんの情報を収集します。
薬剤の管理方法や残薬の有無、ほかの病院でもらっている薬やその相互作用等を確認し、「実施すべき薬学的指導の内容」、「患者宅への訪問回数」等を、薬学的管理指導計画書に記載します。この薬学的管理指導計画書は、新たな情報や処方の変化などをふまえて、月に1回以上見直す必要があります。
薬の準備
在宅医療を受ける患者さんは高齢者が多く、飲むべき薬が比較的多いようです。薬が多い場合は、患者さんの能力に応じて対策を行います。薬を一包化したり、ピルケースや服薬カレンダーを使用するなどの方法があります。薬は麻薬を扱う場合も多く、その他にも「医療材料」が処方される場合もあります。
訪問時の薬学的指導
初回訪問のときに確認すべきこと
- 薬の保管場所・管理状況
- キーパーソンの有無
- 介護保険証と要介護認定状況
- 他に受診している医療機関の有無
毎回確認すべきこと
- ジェネリック医薬品の使用に関して
- お薬手帳
- ほかの医療機関に受診していないか
- 残薬の状況
- 薬の効果の確認
- 薬の副作用が出ていないか確認
- 体調の確認(食事・睡眠・排泄・運動・認知機能など)
訪問後の薬剤服用歴・報告書
次回の訪問をより良いものにするためにも、薬剤服用歴(薬歴)の記録が大切です。薬剤服用歴には、様々な情報を記載しなければなりません。以下、一部を紹介します。
- 患者さんの体質・アレルギー歴・副作用歴等
- 患者さんやその家族からの相談事項の要点
- 薬の服薬状況
- 残薬の状況の確認
- 患者さんの体調の変化
- 一般用医薬品や健康食品などの情報
- 現在の病気に関する情報
- 他の病院受診の有無
- 副作用が疑われる症状の有無
- 飲食物の摂取状況
- 後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用に関する患者さんの意向
- お薬手帳による情報提供の状況
- 薬剤師が行った服薬指導の要点
これらの情報を要約し、医師やケアマネ、訪問看護師等に「報告書」を提出します。必要に応じて、他の医療者、介護職員等との情報共有を行い、質の高い在宅医療を提供しています。