健康サポート薬局とは

健康サポート薬局とは、「かかりつけ薬剤師・薬局の基本的な機能に加えて、国民による主体的な健康の保持増進を積極的に支援する機能を備えた薬局」として、法律(医薬品医療機器等法)上に位置づけるものです。つまり、「地域住民の健康を支援する薬局」として法令で位置づけられています。

 

厚生労働省は、高齢者が住み慣れた地域で、最期まで自分らしく暮らせるように「地域包括ケアシステム」という支援・サービス提供体制の構築を推進しています。その下で、まちの薬局は疾病予防、健康の維持増進、在宅医療や多職種連携など、予防から介護まで幅広い知識と対応力が求められます。

 

かかりつけ薬局の基本的機能を有することを示す書類(かかりつけ薬局機能に関する業務手順書と添付書類6種)、健康サポート機能を有することを示す書類(健康サポート機能に関する業務手順書と添付資料14種)を都道府県知事へ届け出る必要があります。その一部、重要な項目を以下に示します。

 

健康サポート薬局に求められる重要な項目
① 地域における連携体制の構築
② 薬剤師の資質確保
③ 薬局の設備
④ 薬局における表示
⑤ 要指導医薬品等の取扱い
⑥ 開局時間
⑦ 健康相談・健康サポート

① 地域における連携体制の構築
医療機関への受診勧奨、健診や保健指導の実施機関、市町村保健センター等への紹介を行います。そのために、薬局は行う健康サポートの内容に応じて、関係機関との連携体制を構築する必要があります。

 

そのために、地域ケア会議等に積極的に参加し、薬学的見地から意見を述べることが望まれます。さらに、地域の医師会、歯科医師会、看護協会、栄養士会、介護支援専門員協会等に連携・協力します。

 

地域の行政や医師会等が実施・協力する健康の維持・増進やその他各種事業等(くすり教育等の啓発活動、多職種との研修事業など)に主体的に参加し、健康の維持・増進に貢献します。

 

 

② 薬剤師の資質確保
健康サポート機能を有する薬局の薬剤師は、かかりつけ薬剤師としての役割を果たせる必要があります。地域住民に、一般用医薬品や健康食品等を安全かつ適切に使用してもらうためには、薬剤師のの高さが大切です。そのために、一定の研修や実務経験が必要です。

 

 

③ 薬局の設備
薬局の利用者が一般用医薬品や健康食品等について相談しやすい環境をつくる必要があります。利用者と薬剤師のやりとりが他の利用者に聞こえないよう、パーテーション等で区切るなど、個人情報に配慮した相談スペースが必要です。

 

 

④ 薬局における表示
地域住民が安心して立ち寄って相談できるよう、薬局内外において、健康サポート機能について表示する必要があります。

 

薬局外には、健康サポート機能を有する薬局であることや、一般用医薬品や健康食品等の安全かつ適正な使用に関する助言や健康の維持・増進に関する相談を行っている旨を表示します。また、薬局内では、薬局で実施している健康サポートの内容を具体的に示すことが求められます。

 

 

⑤ 要指導医薬品等の取扱い
利用者が相談しやすい環境を作り、地域住民のニーズに対応するために、医薬品等の品揃えが求められます要指導医薬品等や衛生材料、介護用品等について、利用者自らが適切に選択できる供給機能、専門的知識に基づく助言の体制が必要です。

 

 

⑥ 開局時間
地域住民が相談したいと思って薬局に行っても、薬局が開局していなければ、意味がありません。健康サポート機能を有する薬局は、平日に一定時間以上連続して開局し、土日にも一定時間開局していることが求められます。

 

 

⑦ 健康相談・健康サポート
薬局・薬剤師は、利用者に対して継続して健康相談に乗る必要があります。そのために、過去の一般用医薬品や健康食品等の販売内容や相談内容を把握し、記録保存が求められます。

 

また、薬剤師による薬の相談会の開催や禁煙相談の実施、健診の受診勧奨や認知症早期発見につなげる取組、医師や保健師と連携した糖尿病予防教室や管理栄養士と連携した栄養相談会の開催などの取り組みも実施します。

 

さらに、地域住民に健康情報を意識してもらうため、国、地方自治体、関連学会等が作成する健康の維持・増進に関するポスターの掲示やパンフレットの配布により、啓発活動に協力することも求められます。

 

健康サポートの取り組み例

  • 医薬品や健康食品等を適正に使用するための助言を行う
  • 健康の維持・増進に関する相談を幅広く受ける
  • 必要に応じ、かかりつけ医などの適切な専門職種に紹介を行う
  • 率先して地域住民の健康サポートを積極的かつ具体的に実施する
  • 地域の薬局への情報発信、取組支援等を行う

 

おわりに
健康サポート薬局は、その薬局だけですべての相談対応や支援を完結させるものではありません。地域住民の健康を支援するその役割を担う一機関であり、薬局で対応できない場合には、多職種や関係機関につなぐ機能が重要です。

 

また、地域住民の健康意識を高め、健康寿命の延伸に貢献していく必要があります。つまり、健康サポート薬局は、安心して立ち寄りやすい身近な存在であるべきです。地域包括ケアシステムの基本単位である日常生活圏域(中学校区をイメージ)に、少なくとも1件の健康サポート薬局が存在するようになるといわれます。(2025年までに15000件程度)

 

この地域包括ケアシステムの中で、多職種と連携し、地域住民の相談役の一つとしての役割を果たす薬局が「健康サポート薬局」です。

 

参考:健康サポート薬局のあり方について(厚生労働省資料)

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