第11条:いつもと違う睡眠には、要注意。

睡眠中の激しいいびき・呼吸停止、手足のぴくつき・むずむず感や歯ぎしりは要注意です。眠っても日中の眠気や居眠りで困っている場合は、専門家に相談しましょう。

睡眠中の激しいいびき・呼吸停止、手足のぴくつき・むずむず感や歯ぎしりは要注意

​睡眠中の心身の変化には、専門的な治療を要する病気が隠れていることがあるため、注意が必要です。睡眠中の激しいいびきは、喉のところで呼吸中の空気の流れが悪くなっていることを示すサインです。睡眠時無呼吸症候群などの睡眠中の呼吸に関連した病気の可能性があり注意が必要です。

 

睡眠時無呼吸症候群は、高血圧、糖尿病、脳梗塞、循環器疾患と関連しています。適切な治療を受けることで症状が改善し、高血圧や脳卒中の危険性が減ることが示されています。このため、睡眠時無呼吸症候群の予防と早期発見が重要です。

 

また、就寝時の足のむずむず感や熱感は「レストレスレッグス症候群」、睡眠中の手足のぴくつきは「周期性四肢運動障害」の可能性があります。

 

レストレスレッグス症候群(Restless Legs Syndrome:RLS,むずむず脚症候群)は、下肢を動かしたい強い衝動(多くは下肢の異常感覚を伴う)が安静時に増悪し、特に夕方から夜に症状が悪化するという特徴があります。日本での有病率は1.8%であり、女性の有病率は男性に比べて約1.5倍高く、加齢とともに有病率が高くなります。

 

睡眠時周期性四肢運動(Periodic Limb Movements in Sleep:PLMS)は、睡眠中に足首の関節をピクピクと背屈させるような動きを周期的に繰り返す運動が認めらます。レストレスレッグス症候群患者の80%にみられます。

 

このような運動の回数が多く、覚醒反応が頻繁に起こり、睡眠の質を悪くする結果、熟睡感の欠如や昼間の眠気が起こる状態は、周期性四肢運動障害(PLMD:Periodic Limb Movement Disorder)といわれます。

 

これらの病気があると、一定時間眠っても休息感が得られず、日中に異常な眠気をもたらすことがあります。さらに、睡眠中の歯ぎしりがある人は、いびき、睡眠時無呼吸、不眠、顎関節の異常、血圧上昇、頭痛を持つことが多いようです。いずれも医師や歯科医師に早めに相談することが大切です。

眠っても日中の眠気や居眠りで困っている場合は専門家に相談

うつ病の多くでは、特徴的な不眠(寝つきが悪く、早朝に目が覚めたり、熟睡感がないなど)を示します。このような不眠を初期のうちに発見し、適切に治療することは、うつ病の悪化を予防します。

 

きちんと睡眠時間が確保されていても日中の眠気や居眠りで困っている場合は、ナルコレプシーなどの過眠症の可能性もあります。過眠症には、「一次性の過眠症」、「概日リズム睡眠障害」「続発性の過眠症」が存在します。

一次性の過眠症
ナルコレプシー、特発性過眠症などのように睡眠覚醒機構の機能異常により生じる。

 

概日リズム睡眠障害
交代性勤務障害や睡眠相後退症候群などのように睡眠覚醒リズムを調節する機能の異常により生じる。

 

続発性の過眠症
薬剤の副作用あるいは睡眠時無呼吸症候群や周期性四肢運動障害、むずむず脚症候群による夜間睡眠の質的悪化により日中の眠気が出現する。

 

日中の過度の眠気は、長期的には仕事や学業に支障を生じ、重大な労働災害や交通事故の危険因子にもなります。医師による適切な検査を受け、対策をとることが大切です。

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