第6条:良い睡眠のためには、環境づくりも重要です。

自分にあったリラックス法が心身の眠りへの準備となります。自分の睡眠に適した環境づくりが大切です。

自分にあったリラックス法が眠りの準備となる

いつもの就寝時刻が近づくと、脳は目覚めた状態から徐々にリラックスした状態に移り、やがて睡眠に入ります。スムーズに眠りへ移行するには、就寝前の脳の変化を妨げないような、自分にあったリラックスが大切です。例えば、入浴は、ぬるめと感じる湯温で、適度な時間ゆったりとするとよいでしょう。

 

寝床に就く前に、少なくとも1時間は「何もしないでよい時間」を確保しましょう。また、睡眠時間や就床時刻にこだわり、眠くないにもかかわらず、無理に眠ろうしてはいけません。逆にリラックスできず、寝つきを悪化させることがあるためです。およそ30分以上寝床で目が覚めていたら、一度寝室を離れるなど「気分を変える工夫」も大切です。

 

他の人がリラックスできる方法であっても、人や状況によってリラックスできないことがあります。同じ方法でも、人によってはかえって緊張が増すこともあるため、個人にあったリラックス方法を見つけることが重要です。

 

睡眠と体温の変化は密接に関係しています。就寝0.5~6時間前の入浴による体温変化は、入眠の促進や深睡眠の増加といった「睡眠の改善効果」があります。適切な時刻に40℃程度の高すぎない湯温で入浴するのであれば、精神的なリラックス効果が期待できます。

 

さらに、湯に浸かって軽く体温を上げることで、末梢血管が拡張して、その後の放熱が活発になります。寝ついてから90分前後における「深い睡眠」を増加させることにつながると考えられます。

 

ただし、就寝直前に42℃以上の高温浴を行うと、体温を上昇させすぎ心身を目覚めさせてしまうため、入眠が妨げられることがあります。

自分の睡眠に適した環境づくり

良い睡眠のためには、環境づくりも重要です。寝室の温度湿度騒音寝具寝衣などの環境は「睡眠の質」と関係します。寝室・寝床内は、静かで暗く、季節に応じた温度や湿度にしましょう。

 

寝室や寝床の中の温度湿度は、体温調節の関係から「寝つきや睡眠の深さ」に影響します。環境温が低過ぎると手足の血管が収縮して、皮膚から熱を逃がさず体温を保とうとします。また、温度や湿度があまり高いと発汗による体温調節がうまくいかずに、皮膚から熱が逃げていきません。どちらも、結果的に、身体内部の温度が効率的に下がっていかないために、寝つきが悪くなります。

 

高温環境、低温環境のいずれにおいても覚醒が増加し、深いノンレム睡眠(徐波睡眠)やレム睡眠が減少します。室温は13~29℃が適切だといわれます。夏は高め、冬は低めとなりますが、寝床内で身体近傍の温度が33℃前後になっていれば、睡眠の質的低下はみられないと考えられています。

 

また、同一の温度環境下では、高湿度になると覚醒が増加し、深睡眠が減少することが示されています。温度や湿度は、季節に応じて、眠りを邪魔しないと範囲に保つことが基本で、心地よいと感じられる程度に調整しましょう。

 

夜間の騒音は、45~55dB程度であっても、不眠や夜間の覚醒が増加します。一方で、暗く無音の実験室で過ごすなど「感覚刺激が極端に少ない条件」では、反対に覚醒度が高まり、物音などの些細な刺激が気になったり、不安や緊張が高まります。

 

ある程度以上の明るさの光のもとで一定時間以上過ごすと、目からの光情報が脳内の体内時計や自律神経の中枢に伝達されます。そして、交感神経活動を高め、覚醒度を上昇させます。

 

(昼間では窓際程度の数千ルクスの明るさが必要とされるが、夜間では一般的な室内天井照明程度の数百ルクスの明るさでも覚醒方向の作用が生じると考えられている。)

 

これが日中であれば、眠気を低減して覚醒度を維持するとともに、体内時計に働きかけて昼夜のメリハリを強化するのに役立ちます。光の覚醒作用を利用し、朝の起床前に寝室を少しずつ明るくすると、それに応じて睡眠が浅くなり、起床時の目覚め感が良くなります。

 

普通の室内よりも明るい光の下で数十分過ごすだけでも、光の覚醒作用の影響を受けます。つまり、体内時計を介したリズムを遅らせる作用があるため入眠が妨げられます。寝る前は、光の状態に注意が必要です。

 

また、普通の室内の明るさが同じでも、青白い光や白っぽい光のように相関色温度の高い光は、白熱電球のような暖色系の光と比べて、覚醒作用が強いことが指摘されています。つまり、白っぽい光は入眠を妨げる可能性があるため、注意しましょう。

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