2型糖尿病治療の最新情報(高血糖の害)

2型糖尿病治療最新情報について、河盛隆造先生の講演「2型糖尿病治療の目指すところは」を参考にまとめを行います。

 

以下、2型糖尿病治療の最新情報(糖尿病の進行)のつづきの内容です。

 

 

【膵β細胞と高血糖】
膵臓の重さは約90gであり、その中に100万~150万個のランゲルハンス島があります。

 

ランゲルハンス島は全部合わせて0.9gしかありませんが、1つのランゲルハンス島に500~1,000個の膵β細胞があるといわれます。

 

つまり、膵臓には、5億~10億個の膵β細胞があるということです。

 

 

膵β細胞は、必死でインスリンを合成しています。

 

食直後は、真夜中に比べて20倍ものインスリンを叩き出します。

 

膵臓は、この分泌を100年行うことができます。

 

しかし、糖尿病の方の膵臓は、40歳位でへばってしまってしまいます。

 

 

この原因は、糖尿病の治療にあるのかもしれません。

 

糖尿病が悪くなれば、次の手が入り、そして薬が増えます。

 

罹病期間が長ければ長いほど、どんどん薬が増えていきます。

 

「膵臓に作用しインスリンを出させる薬」が頻繁に使用されるため、膵臓がへばりやすいと考えられます。

 

 

さらに、高血糖による酸化ストレスが、膵β細胞を潰しています。

 

PDX-1は、インスリンなどの遺伝子をコントロールしているといわれる物質です。

 

そして、膵β細胞の増殖にも関与しています。

 

 

わずかな高血糖が続くと、ミトコンドリアから酸化ストレスが生じ、それによってPDX‐1が失活してしまいます。

 

つまり、食後高血糖を放置しないことだけが、患者さんのランゲルハンス島(膵β細胞)を守ることができるのです。

 

 

【高血糖と他の病気】
順天堂には年間480名の脳梗塞患者が運ばれてきますが、その方々にOGTT(糖尿病の診断)をすると正常血糖応答の方は、1割に満たない状況です。

 

つまり、わずかな高血糖のときに、脳梗塞すら引き起こしているということです。

 

 

▶糖尿病と「がん」
肝がん、膵がんのリスクは2倍、大腸がんは1.4倍になるといわれます。

 

インスリンに細胞増殖能があるといわれるが、インスリンの作用時間は短く、高血糖の時間が圧倒的に長いです。

 

高血糖が細胞膜炎症を起こし、その修復のミスが「がん」に関わっているのかもしれません。

 

軽い高血糖や、インスリン抵抗性を放置しないことが非常に重要です。

 

 

▶糖尿病と「認知症」
糖尿病がある方は、ない方に比べて高率に、そして15年早く認知症になるといわれます。

 

高血糖毒性が、脳の細胞でのブドウ糖の取り込みを悪くしています。

 

脳でのインスリンの作用が低下し、ブドウ糖の取り込みが落ちていることが原因かもしれません。

 

認知症によって、服薬の管理ができなくなるとHbA1cは1%ほど上昇します。

 

そうすると、認知症は5倍のリスクで進行し続けます。

 

そして、医者も家族も知らないうちに、低血糖になる可能性もあり、大変危険です。

 

皮下に打ったインスリンは、おそらく脳には十分入っていかないと思われます。

 

1型糖尿病の方は、海馬の機能が落ちやすい傾向があることも、その理由です。

 

近年の研究では、点鼻でインスリンを吸入することで、脳にいきやすくなるといわれます。

 

 

【糖尿病の治療まとめ】
30歳で糖尿病が発見される方もおり、早期からの対策が必要です。

 

細小血管障害、心筋梗塞、脳梗塞の発症進展阻止、発がん防止、認知症防止が「糖尿病治療の目的」です。

 

 

この5年間で400万人以上の方に使用されている「DPP-4阻害薬」という薬がある。

 

この薬のおかげでSU薬(膵臓に作用する薬)の使用量は減りました。

 

そして、DPP-4阻害薬は、「グルカゴンの分泌異常がいつからか発症していること」を教えてくれました。

 

インスリンを使ってもうまく治療できない方は、グルカゴンの分泌異常が関わっているのです。

 

 

ブドウ糖とインスリンとグルカゴンの3つが肝臓での糖の処理の主役です。

 

糖のながれを理解し、そこに関係するホルモンを考え、まず「高血糖毒性」をなくすことが、糖尿病の進行を抑制するために非常に大切です。

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