STOPPクライテリア、STARTクライテリア|ポリファーマシー解決法

ポリファーマシーとは、明確な基準はありませんが、「必要以上に薬をのんでいる状態」をさします。近年、ポリファーマシーによる有害事象飲み間違いなどが社会的な問題となっています。

 

国際的には、ビアーズ基準、STOPP クライテリアSTARTクライテリアが、「潜在的な不適切処方のスクリーニングツール」として用いられています。

 

ポリファーマシーを解消する(不適切な処方を減らす)ために用いられる「STOPPクライテリア、STARTクライテリア」を紹介します。

不適切処方のスクリーニングツール

STOPP クライテリア
不適切の基準です。詳細は、STOPP criteria 栃木県の総合内科医のブログがオススメです。
参考文献:Int J Clin Pharmacol Ther. 2008〔PMID : 18218287〕

 

STOPP criteria ver.2 2015年改訂
上記同様に、STOPP criteria ver.2 栃木県の総合内科医のブログがオススメです。
Section A: 薬剤適応  
Section B: 心血管系  
Section C: 抗血小板薬・抗凝固薬  
Section D: 中枢神経系・精神科系
Section E: 腎臓系(以下の薬剤はeGFRで測定した腎機能による急性もしくは慢性腎障害患者で潜在的に不適切な薬剤)  
Section F:消化器系  
Section G: 呼吸器系  
Section H: 筋骨格系
Section I: 泌尿器科系
Section J. 内分泌系
Section K: 高齢者で転倒を増やす薬剤
Section L: 麻薬系
Section M: 抗ムスカリン/抗コリン作動薬

 

STARTクライテリア
適切な治療に向かうためのスクリーニングツールです。
参考文献:Age Ageing. 2007〔PMID : 17881418〕

 

ポリファーマシー(多剤併用)改善の考え方やその対策が11日、都内で開かれた日本臨床薬理学会学術総会で討議された。登壇した総合診療医らは、「薬の数が多いことだけではなく、その中身が問題になる」「今の医学教育は、薬の足し算は得意だが、引き算は教えていない」「効果を優先して安全性を顧みることが不足している」などと説明。その改善に向け、各診療科に対する横断的なアプローチができる薬剤師の役割に期待感を示した。

 

医師の浜野淳氏(筑波大学病院医療連携患者相談センター総合診療グループ・緩和ケアセンター)は、高齢者に対して潜在的に不適切な処方を検出する「ストップクライテリア」を用いて、日本の在宅医療患者430人を対象にスクリーニングを行ったところ、在宅患者の約40%で不適切処方が認められたと報告。また、高齢者への使用が推奨される薬剤を示した「スタートクライテリア」でスクリーニングしたところ、在宅患者の約60%で本来投与すべき薬剤が投与されていなかったとした。

 

基本的には薬の数の多さが問題になるが、「数が少なくても、本来投与すべき薬剤が投与されていないために不適切処方になる場合もある。一方、数が多かったとしても適切な場合もある。数だけでなく、処方の内容や質が問題になる」と強調。ポリファーマシーを含めた不適切処方の是正に取り組むよう訴えた。

 

また、金井貴夫氏(筑波大学病院水戸地域医療教育センター水戸協同病院総合診療科)は、日本の65歳以上の入院患者700人のうち、その63%が5剤以上を服用していたという調査結果を紹介。「4.9%の患者が薬の有害事象を有しており、ポリファーマシーが有害事象の圧倒的なリスクファクターになっていた」と話した。

 

出典:【臨床薬理学会学術総会】ポリファーマシー改善で議論-診療科横断的アプローチを

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