心電図と波形

心臓は、電気刺激で動いています。その電気刺激を身体の表面からはかり、グラフのかたちで記録する手段。それが心電図です。一般的に、心電図に異常があると、そのすべてが病気だと考えられがちです。

 

心電図は、心臓の動き(不整脈)を理解する上で非常に大切です。しかし、心電図の理解は難問です。臨床の医学生で「心電図が得意」という学生は、まずいません。内科の研修医でも心電図の教科書を買って読もうとしても、眠気に負けてしまいます。学生時代の苦い暗記経験がよみがえるだけで、なんとなくスッキリしないものです。

 

薬剤師において、心電図をきちんと理解できる人は、まずいないと思って良いかもしれません。心臓が興奮する際に発生する電気刺激(電流)は、心臓の外へ漏れ出し、体中に流れていきます。心電図は、その漏れ出した電流を身体の表面(四肢や胸部)でキャッチしたものです。

 

心臓の電気刺激は、洞結節→房室結節→ヒス束→右脚・左脚→プルキンエ線維へと伝わります。

 

心筋細胞を興奮させるために必要な電気刺激、つまり起電力は約100mVです。しかし、身体の表面で記録できる心電図の電気は約1mVに過ぎません。それを記録しようと言うのですから簡単ではありません。私たちがよく目にする代表的な心電図は、右手と左足の間で、その電位差を測定したもので、第Ⅱ誘導と言われるものです。

 


出典:不整脈の読み方

 

身体の上方向に流れる電流はマイナス(谷のような線)に、下方向に流れる電流はプラス(山のような線)として記録されます。心臓の動きを左足首と右手首の電気(電位)を測定し、それぞれに記録しています。このとき、左の足首と右の手首に金属板の電極をつけます。

出典:不整脈の読み方

 

例えば、身体の右上方向に流れた電流は、右肩を通り右腕にいきます。また、身体の左下方向に流れる電流は左足にいきます。その場合、左足側がプラスに右手側がマイナスに記録されます。したがって、心臓から下方向に発生する電流が上向きの波形として、また上方向に発生する電流が下向きの波形として記録されるのです。

 

ここまでの章の「心臓の動きと各イオンの移動」を頭で描きながら考えることが大切です。

 

 

続いて、心電図と第Ⅱ誘導

 

 

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