各部位の不整な動きを見てみよう その1

心臓の元締めである洞結節でさえ、細胞の興奮が狂ったり、興奮を中止することがあります。心臓の細胞は静止しているとき、どの細胞も「すぐに興奮するぞ(電気刺激を伝えるぞ)という状態」で待ち構えています。

 

つまり、思わぬ(電気)刺激があると、変な時に興奮するかもしれません。体内の電解質(主にCa、Na、Kイオン)の異常が生じると、心臓の細胞は、その異常に合わせて敏感に反応します。「K(カリウム)が高くなると不整脈が起こる」といわれるのも、この電解質と心臓の関係があるためです。

 

心臓の構造を考えると、心臓の血管と肺の血管の境目は、明確に線引きできません。この辺りの血管は、心臓の細胞と肺の細胞が混ざり合っています。思わぬ刺激で細胞の興奮がおこり、心臓に影響を与えることもあります。

 

心臓の色々な異常

 


出典:不整脈の基礎と臨床

 

心臓の不整な動き(不整脈)の原因は、細胞の興奮発生の異常興奮の伝わり方の異常が主なものです。繰り返しになりますが、心臓の動きの元締めである洞結節の細胞でさえ、異常な興奮をするのです。その異常な興奮は、「早めに起こる」、「ちょっと遅れて起こる」、「おやすみ」する場合があります。

 

洞結節の細胞群の中で、「興奮の電気刺激が回転(洞房リエントリー)」することがあります。正常であれば、洞結節の興奮は心房へと伝わります。しかし、この場合は、洞結節から心房へ興奮が伝わらず途切れてしまいます。

 

心房において、洞結節からの興奮を「勝手に心房内で回転させる経路」をつくることがあります。また、洞結節から正常な電気刺激が来る前に、心房の中のある細胞が勝手に興奮する場合もあります。そして、このような異常は、心室の細胞でも同じように起こります。

 

例えば、心室の細胞に狂いが生じて深い静止電位(-90mV)をつくれず-70mVで止まったとします。この電位は、興奮のはじまりである「Naチャネルが開く電位(-65mV)」に近いです。そして、何か刺激がやってくると(洞結節からの刺激を待たずに)、Naチャネルが開いてしまいます。Naチャネルが開くと、Naイオンが細胞内へ流入(脱分極)し、異常な心臓の動きがおこります。これが心室性の期外収縮です。

 

この期外収縮を元にして、違った刺激の伝導路ができ、電気刺激が回転する(正常に伝われない)こともあります。

 

心臓は、このように嘆きます。

困ったよ・・・、深い電位差がつくれない。 
苦しい、我慢できない・・・早く興奮してしまう!!

 

 

続いて、各部位の不整な動きをみてみよう その2

 

 

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