(準備中)心臓とRAA系

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心臓とRAA系との関係については、循環器系のすべての面に関係しています。まず、RAA系はヒトの進化の過程で獲得した系です。ヒトが陸上に上がり、二本足で歩くようになり、脳血流を保つためには血圧を上げないといけません。そこで、Naイオンを保持し利用することが必要になりRAA系が生まれたと言われています。

 

RAA系とは
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RAA系は身体の各部位に存在し、循環RAA系をはじめ、心筋・血管などの細胞にも組織RAA系があります。なぜ局所の細胞にまで産生能力を持たせたのでしょうか?局所の強化補強のためでしょうか。しかし、組織RAA系は局所の強化ではなく、臓器障害をおこすこともあります。

 

アンジオテンシンⅡ(AngⅡ)
循環系のアンジオテンシンⅡ(AngⅡ)は、腎臓の輸入細動脈壁傍糸球体細胞で合成され血中に分泌されたレニンからAngⅠを経てつくられます。

 

AngⅡが作用する受容体にはAT1受容体とAT2受容体があります。血管平滑筋のAT1受容体を刺激して、筋小胞体からCaイオンを遊離させ血管を収縮させます。また糸球体では輸出細動脈に作用して収縮力が強く働き、また副腎においてアルドステロンの分泌を促します。

 

このような循環動態に対する作用に加えて、AngⅡの過剰は心筋の肥大・線維化などのさまざまな臓器障害に影響するのです。これに大きく関係するのが心臓・血管などの組織でつくられる局所のレニン・アンジオテンシン・アルドステロンなのです。

 

アルドステロン
アルドステロンは、AT1受容体刺激、ACTH,Kイオンなどにより副腎皮質で産生されます。腎の集合管においてNa-Kポンプや尿細管側のNaチャネル蛋白の発現を増加させ、Na貯留、それに伴う水分の貯留、K排泄を引き起こします。
アルドステロンの受容体は心血管系にもあり、心血管の肥大・線維化に関係します。また不全心ではアルドステロンを微量分泌しています(局所アルドステロン系)。
RAA系を全般的にみる
RAA系は、血圧を短期的にも長期的にも調節する役割を果たしています。しかしAngⅡの作用は、心収縮力、心拍数増加と言った直接作用ではなく間接的なものなのです。
交感神経では、血圧を直ちに上げる、また下げる、など速い反応が起こります。しかしAngⅡの場合は、血圧を下げるか、あるいは変えないかは、そのときの身体の生理的状態をみてから、ゆっくりと起こる作用なのです。AngⅡは長期にわたって血圧を安定させることに役立っているのです。AngⅡの緩徐な昇圧の作用は、腎の排泄機構によるものであり血圧に関しては脇役です。AngⅡの直接の収縮作用は腎の輸出動脈で最も強く、内臓血管はこれに次ぐものです。また脳血管、肺血管、骨格筋血管に対してはあまり作用しません。
AngⅡと交感神経の関係
AngⅡは、交感神経末端からのノルアドレナリン(NA)の放出の促進とか神経終末へのノルアドレナリン再取り込みの抑制にも関係します。ノルアドレナリンで起こる血管反応の増強作用とも同調しています。また中枢では、AngⅡが中枢にも働いて交感神経系の興奮を増強させると言われています。   
副腎皮質からのアルドステロン分泌
AngⅡは副腎皮質を刺激してアルドステロンの分泌を高めます。血圧に影響しないような微量のAngⅡでもアルドステロンの分泌の促進に関係します。アルドステロンの作用は、血液が低ナトリウム血症、高カリウム血症のときには増強し、逆の場合は抑制するのです。
局所でつくられるAngⅡが心血管組織に影響をおよぼす (局所のRA系)
前にも記しましたが、全身の循環RA系とは別に、心・血管・腎などの局所の組織細胞にもRA系があります。局所でつくられたAngⅡは、AT1受容体に作用して、細胞の遊走、増殖、肥大また合成能力にも働いて、血管の肥厚、心筋の肥大、心筋の線維化、血管内膜の肥厚に関係します。血管平滑筋細胞、心筋細胞そして線維芽細胞などでの病的変化にAngⅡは関係し、時間が経過すれば、それぞれの部位のリモデリングにつながり体には悪い結果をもたらすのです。
腎臓では、RAA系が対応
心不全状態になり心拍出量が少なくなると腎臓の血流は減少します。腎臓は、それは困るとRAA系を亢進させAngⅡの作用で尿の排泄量を減して血液量を増やし、また血管を収縮させて血圧を上げるように働きます。大血管、脳の血流低下はAngⅡの分泌を亢進させ体液量の増加に働きます。アルドステロン分泌の亢進でNaイオンの再吸収と共に水分が尿管から体に戻ります。交感神経補佐として協調しながら血液の循環、体液の調節に関わっているように思います。

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