減処方のプロトコール|ポリファーマシー解決法
ポリファーマシーとは、明確な基準はありませんが、「必要以上に薬をのんでいる状態」をさします。近年、ポリファーマシーによる有害事象や飲み間違いなどが社会的な問題となっています。
このポリファーマシーを解消するために、「減処方のプロトコール(Deprescribing)」が用いられます。患者さんがより良くなるために、処方薬を減量し、ポリファーマシーを解消する手順を紹介します。
減処方のプロトコール(Deprescribing)
減処方のプロトコール(Deprescribing)は、2015年にJAMA Internal Medicineで報告されたアルゴリズムです。その薬は「患者さんにとって利益があるのか?」という判断を最初に行うため、多くの支持を得ています。
①患者が現在使用している全ての薬について、その種類と処方された理由を確認する。(利益があるのか?)
②現在使用している薬において、どの程度の有害事象が起こりうるか考える。
③使用しているそれぞれの薬について、潜在的な利益と害を評価する。
④薬の利益と害、中断しやすさ(リバウンドのなさ)、患者の希望等を考慮し、中断する薬の優先順位をつける。
⑤減処方を実施し、その成果(良くなっているのか、副作用が出ていないか)を注意深く観察する。
参考文献:Reducing inappropriate polypharmacy: the process of deprescribing.
出典:薬を減らすためのアルゴリズム,総合診療のGノート(10月号)2016
高齢者において適切に薬剤中止を考えるためのアルゴリズム
この患者の年齢群、障害程度で、現在使っている用量について、
その薬の適応のエビデンスに基づいたコンセンサスがあるか →Yes:同じ用量で継続
↓No/Not sure
この患者の年齢群、障害程度で、適応が妥当で関連性があるか →No:薬剤中止
↓Yes
薬の副反応が利益を上回っているか →Yes:薬剤中止
↓No
有害症状や兆候が薬と関連しているか →Yes:他の薬に変更
↓No
問題となっている薬よりも優れている他の薬があるか →Yes:他の薬に変更
↓No
有意なリスクなく用量を減らすことが可能か →Yes:減量
↓No
同じ用量で継続
出典:総合診療のGノート(10月号)2016