不整脈への対応

不整脈への対応を考える前に頭に入れておいて頂きたいことがあります。心臓に機能的障害(心臓そのものの異常)がない場合でも、不整脈は起こります。心臓の細胞のちょっとした異常や原因がはっきりしない不整脈も多くみられます。

 

そして、不整脈治療の目的は、不整脈の消失と減少、それに伴うQOLの改善、不安の除去、生命予後(病気がたどる経過と結末)をよくすることにあります。

 

不整脈の対応は、薬物療法、カテーテルアブレーション、外科的手術、植え込み型徐細動器、そして無治療です。Kチャネルを抑制する薬であるアミオダロンや、カテーテルアブレーション、植え込み型徐細動器の出現で、不整脈の治療は大きく変化してきました。

 

その変化の中でも、CAST試験(CAST study)によって、抗不整脈薬(不整脈を抑える薬)による治療そのものを疑問視された時期がありました。心筋梗塞後に心室期外収縮や心室頻拍(心室性不整脈)が多い場合、予後が悪くなります。

 

CAST試験は、「抗不整脈薬を使用して、心室性不整脈を減らすと予後がどうなるか」を確かめる大規模臨床試験でした。心室性不整脈が減ると予後が良くなると期待されていましたが、結果は逆でした。抗不整脈薬使用群の予後が悪くなり、試験は途中で中止されました。

 

このCAST試験から、「不整脈を抑えただけでは、予後は良くならない」ということがわかります。従来、不整脈は「命に関わる大問題」という認識があり、すぐに治療する傾向がありました。しかし、時代とともに考えも変わっていきました。

 

 

不整脈の中には、重い心臓病の兆候として出てくる不整脈もあります。また、不整脈のために日常生活が困難になることもあれば、将来の突然死の原因になるものもあります。ただし、危険な不整脈はほんの一部であり、ほとんどの場合、放置しても問題ありません。

 

心臓は決められたようにきちんとは動くとは限りません。心臓が正常でも不整な動きをする場合も多く、その不整脈は「本当に治療が必要なのか」判断する必要があります。実際、不必要な治療による薬害で苦しめられる患者も少なくありません。

不整脈と症状

動悸
心拍を不快感と意識する症状です。心拍の乱れ、心拍の増加(頻脈)、1回の拍出量が多くなった時にも感じます。不整脈以外に狭心症、心不全、貧血、低血糖、精神的緊張時などでもみられます。房室ブロックなど徐脈でも1回の拍出量の増加で、動悸を自覚することもあります。

 

胸痛、胸部不快感
期外収縮、発作性心房細動、発作性上室性頻拍など、一般に頻脈性不整脈の場合に多いです。頻脈によって心臓の拡張期が短くなり、心臓に返る血液が減少します。そして、拍出量が少なくなり痛みや不快感を感じます。また、拡張期が短くなると左冠動脈への血液の流れ込みが悪くなり、酸素の供給不足によって痛みが出ます。

 

失神
頻脈、徐脈の程度が強くなると有効な心拍出量が保てず、脳循環不全を起こし失神します。軽ければ、めまい、立ちくらみがあり、程度が重いと失神、痙攣などを起こす場合があります。

 

心臓は、このように話します。

私は、何ともないのに、勝手にへんな動きをすることも多いのです。
病気と間違えないでね!

 

 

続いて、治療薬とNaチャネルの開閉

 

 

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